6/1 卓話「山口県の観光振興」
山口県観光スポーツ文化部観光政策課 主査 山本 康弘 氏
新型コロナウイルス感染症により影響を受けた、山口県観光のV字回復に向けた取組について説明
1 データで読み解く観光の現状
・2021年、世界の観光は若干回復したものの、コロナ禍前の水準には遠く及ばない状況。
・2021年の国内宿泊旅行延べ人数は1億4,117万人 (2019年比▲54.5%)。
・2021年の訪日外国人旅行者は25万人 (2019年比▲99.2%)。
・山口県の2020年の延べ宿泊者数は2019年との比較で▲17.3%、外国人延べ宿泊者数は2019年との比較で▲69.8%。
・県内市町の2020年の観光客数を2019年と比較すると、山口市▲41.0%、下関市▲46.3%、岩国市▲57.6%など大きく影響を受けた地域がある。
2 本県の観光振興の取組
(1) 山口県観光V字回復プラン
山口県の観光再生に向け、 コロナ禍による危機を脱するための短期・集中的な指針として、「山口県観光V字回復プラン」 を令和3年10月に策定。
本県観光のV字回復に向けた以下に掲げる2点の方向性を定め、施策を推進することとしている。
① 感染拡大防止と経済回復に向けた集中的な対策
② コロナの時代における社会変革に即した重点施策
(2) やまぐち観光振興支援パッケージ
長引くコロナ禍により影響を受けた本県観光の早期回復に向け、宿泊事業者をはじめ観光事業者に対する総合的な支援策として、「やまぐち観光振興支援パッケージ」をとりまとめ事業化(予算総額:24億円、実施期間:令和4年1月~令和5年3月)
(3) 令和4年度の取組
◆経済回復に向けた集中的な対策
○GoToやまぐち事業
○やまぐち観光振興支援事業
・旅々やまぐち割の延長(6月末まで)
・やまぐち割引宿泊券(割引率30%)の販売
・県内宿泊を伴う団体バスツアーの造成を支援
・観光関係団体が実施するイベントの開催を支援
◆コロナの時代における社会変革に即した重点施策
○戦略的観光消費額向上事業
○海外誘客デジタルプロモーション事業
○観光地経営データ活用モデル事業
○第30回 地域伝統芸能全国大会山口大会開催事業
○スポーツツーリズム推進事業 など
5/11 卓話 「ロシアのウクライナ軍事侵攻をどうみるか」
日本放送協会山口放送局 放送部長 津屋 尚 氏
■軍事侵攻をどうみるか
ロシアによるウクライナの軍事侵攻は、第二次世界大戦後、欧州で起きた最大の侵略行為だ。国連安保理常任理事国自らが行ったこの蛮行は、2度の悲惨な世界大戦を経て国際社会が積み上げてきた平和への努力や国際秩序を根底から崩壊させるものに他ならない。加えて、非戦闘員である民間人を標的にし、病院や学校、避難施設をも爆撃。首都近郊のブチャではジェノサイド(大量虐殺)が行われた可能性が高い。数々の戦争犯罪に国際的な批判が高まるのは当然のことだ。
この戦争を指揮するプーチン大統領。チェチェンでの軍事作戦や国内の反体制派への弾圧・暗殺などで、その非道さは示されてきた。KGB出身で後継組織のFSB(連邦保安庁)長官も務めたこの男は抜け目のない狡猾な指導者だと思われていたが、国際社会での孤立につながる今回の侵攻の決断は、冷静な判断を欠いたといわざるをえない。プーチンには情報機関から正確な情報が伝えられていなかったことが指摘されるが、これは周囲にイエスマンばかりを集めた結果であり、恐怖政治を引いてきたツケがまわってきた形だ。
■戦況分析
当初は、軍事力にまさるロシアの圧勝が予想されたが、ウクライナが善戦。ロシアは数日で首都キーウ陥落とゼレンスキー政権の転覆を企てたが、完全に失敗。その後もロシアの思うようには進んでいない。その要因は以下の通り。
(要因①)ロシアの稚拙な作戦計画。柔軟性を欠き、補給体制なども不十分。兵士の士気も低い。ウクライナを過小評価したのだろう。
(要因②)ウクライナ国民の士気の高さ。日本は敗戦によって自由と繁栄を手にした「成功体験」があるが、彼らは真逆。侵略戦争に敗れたあとどのような苦難が待ち受けているか、ナチスドイツに蹂躙されソビエトのスターリンによって抑圧された過去の経験から学んでおり、戦わなければ自由と平和を失ってしまうとの危機感がある。
(要因③)ゼレンスキー大統領の指導力と発信力。SNSを駆使し、各国の議会に対して直接語りかける手法で世界から称賛されている。コメディ俳優出身でドラマ脚本も手掛けた経験が「演説」に生かされている。単に言葉だけでなく自ら命をかけている様が伝わってくる。暗殺予告を受けながらも敢えて国内にとどまり抵抗を指揮する姿は、支持率や人気の低下を気にする政治家にありがちな「弱み」はない。そこに国民の信頼と支持が集まり、海外政府からの支援も集まっている。
(要因④)NATOによる強力な軍事支援。
直接軍事介入をしない方針のNATO諸国はかわりに大量の兵器を提供。特に米国は対戦車ミサイル「ジャベリン」や最大射程30kmの「りゅう弾砲M777」などの兵器を大量に供与し、国外でのウクライナ兵の訓練も実施。さらに、機密情報も提供。ロシア軍の位置情報などがウクライナ軍の作戦を支えている。
■今後どうなるか。
「戦争は、始めるより終わらせる方が遥かに難しい」。プーチンは戦争目標を達成できないまま戦争を終えるつもりはなく、ウクライナもNATOも妥協しない構えで、紛争の長期化は必至。また、ロシアの最新兵器の多くには西側の部品が使われており、先端技術禁輸によりロシアは巡航ミサイルなど高性能兵器の調達が困難になることが予想される。戦況を打開するため、ロシア軍が化学兵器や核兵器を使う恐れも否定できない。核兵器の中でも作戦の一部として使われる「戦術核」は使用のハードルは低い。また、ロシアの核ドクトリンは、核使用の条件の一つに「敵の通常兵器による攻撃で国家の存亡の危機にある場合」としており、プーチンが「国家存亡の危機」とみなせば核が使われる恐れもある。
また、西側諸国は、経済制裁も強化され、プーチン政権が転覆しない限り、ロシアを国際経済から排除する方向。ロシアへのエネルギー依存が高いドイツも「ロシアへの依存をゼロにする」方針を示した。
■アジア・日本の安全保障への影響
北朝鮮は、米国がウクライナ情勢への対応に追われている間隙をぬって弾道ミサイル発射を繰り返している。また、中国についても、台湾有事への影響を専門家は真剣に議論している。中国が台湾に侵攻した場合、アメリカは軍事介入してくれるのかどうかが台湾にとって切実な問題として議論されている。
そこで問われるのが、アメリカの「抑止力」。抑止力とは、「軍事力」+ 行使する「意思」+ それを相手が理解していること。ウクライナ侵攻開始前、プーチンは核の使用も辞さない構えを見せて恫喝した。米バイデンはロシアとの直接衝突を避けるため「軍事介入はしない」と明言。これにより抑止力の構成要素の「意思」が欠如。アメリカの抑止力は機能せず、ロシアの軍事侵攻を許した。
台湾有事は「日本の有事」に直結する可能性大。アメリカのこの地域での軍事的プレゼンスが、有事を回避する抑止力たりえるか、日本にとっても重大な問題。万一、軍事侵攻を受けた場合の国民や政治家のありようなど、ウクライナ情勢から考えさせられる教訓は多い。
4/20 卓話「障がい者雇用によるリーフレタス栽培事業の紹介 」
株式会社トクヤマゆうゆうファーム
代表取締役 山本 泰 氏
障がい者の雇用創出を積極的に進めると共に、高齢化等で担い手が減少している地域農業の活性化を目的として、リーフレタス栽培を行う農業法人(株式会社トクヤマゆうゆうファーム)を設立しました。
◆ 事業の枠組み
株式会社トクヤマゆうゆうファームは、柳井市にある遊休農地を活用して山口県農業協同組合が建設する周年安定生産のできる水耕栽培施設を使用し、リーフレタス栽培を行います。
農園の運営にあたっては、株式会社サラダボウルから提供される事業企画や農業の生産技術・栽培ノウハウなどを活用し、効率的で高い生産能力を備えた近代的な農法を導入することにより、障がい者が働き易く、やり甲斐を感じる職場の提供を目指します
◆ 補助金事業について
令和4年度「強い農業づくり総合支援交付金」の産地基幹施設等支援タイプを予定しております。
◆ 障がい者の雇用計画
2023年度から毎年2名~3名(以上)の雇用を行い、最終的には20名程度の障がい者が作業を担うことを目指しております。
4/13 卓話「交通安全よもやま話」